避難生活では手に入りにくい、事前に用意、備蓄しておきたいお水や専用用品
うさぎの防災対策
私たちは、3月11日の東日本大震災で『いつ起こるのか分からない災害』に備えて準備しておくことの大切さを学びました。私たちのうさちゃんは、私たちだけが頼りなのです。ここでは、事前に配慮する事、その時にする事、知っていた方がいい事などをお伝えしたいと思います。ここに足りない情報もあるかもしれません。是非この情報を読んで、あなたなりの防災対策をじっくりと考えて準備してあげて下さい。 |
備えあれば憂いなし~事前に配慮する事~
■自分自身の対策
先ずは、自分の安全確保が大切です。あなた自身が無事である事がうさちゃんを守る基本になると思ってください。避難場所の確認から最低3日程度の非常食や緊急時アイテムなどの準備をしましょう。
■ 平穏時から準備する事
もしもの事態が起きてからでは間に合わない事があります。余裕のある時に調べたり、抱っこ等の練習をしたり、避難に備えて訓練したりしましょう。また、家族や近所の方達とも日頃からコミュニケーションをとり、避難場所やうさちゃんを飼っている事等を話しておきましょう。
1:地域の避難所の確認と避難所での対応
各自治体の対応をしっかりと調べて、もしもの時に困らないようにしましょう。
1) 家族全員で避難場所を確認する。
2) うさちゃんを同伴できる避難所を確認する。
3) 各地域での動物救援センターの考え方を確認する。
4) 各地域での動物救援病院を確認する。
緊急避難の際には、動物と一緒の生活が困難な方や様々な理由から、ペットは一時飼育場所で管理されるかもしれません。これは、私たちの避難する場所と動物が避難し生活する場所が別になるかもしれないという事です。近くに他の動物がいる所にうさちゃんを置かなければならない事も意味します。これを想定して、キャリーなどを選択して用意する必要があります。うさちゃんが外から完全に見えるタイプのキャリーは、避ける事が無難かもしれません。
2: うさちゃんのしつけと健康管理
急な環境の変化でうさちゃんの体調が崩れたりしないように、また、避難場所でのトラブルを防ぐためには、普段からのしつけと健康管理が大切になります。抱っこやキャリーに入れる事、キャリーで過ごしたりする事は普段から練習することが大切になります。また、災害時を想定して、うさちゃんをキャリーに入れて避難アイテムを持ち出すような避難訓練をしてみる事も必要になるでしょう。
1)抱っこ:普段から練習して、抱っこできるようにしておきましょう。ポイントは、飼主さんの呼吸(緊張すると呼吸が止まり、うさちゃんに警戒心を与えます)と不安感(うさちゃんに伝わります)の克服です。抱っこした後の不安定な状態を短くしてお尻を支え直ぐにからだを密着させてあげましょう。また、緊急の場合には、うさちゃんの背中から首の皮を持ち素早く体に密着させる方法もある事を頭に入れておいて下さい。(上部がすぐに開くケージは、このような時安心です。)
2)キャリー:キャリーに入る事だけでストレスを感じてしまわないようにしましょう。日頃からキャリーで過ごす事に慣れさせてあげましょう。いざという時、うさちゃんをキャリーに入れようとしても出入り口からなかなか入ってくれないという事もあるかもしれません。このような場合、上が開くキャリーが使いやすいかもしれません。また、後ろ足が邪魔をして中々入れられない事がないようにお尻を手のひらで包むように支えてお尻からキャリーに入れてあげましょう。
3)トイレ :においの問題は避難生活に於いては大きな問題になるようです。おしっこのしつけが出来ていると掃除がしやすく、衛生状態を保ちやすくなります。また、ペットシーツ等を部分的に使用する事もできるようになり、経済的にペットシーツが使えます。消臭剤も必ず用意しましょう。
4)社会性 :うさちゃんは、急な環境に適応しにくいところがあります。キャリーで移動する、外に連れて行く、外泊させる等日頃からいろいろな経験をさせてあげる事が大切です。少しずつ慣れさせてあげましょう。
5)偏食 :食べ物を食べるという事は、生きる事の基本になります。偏食があるうさちゃんは、出来る限りいろいろなものを食べる経験をさせてあげましょう。少なくとも食べられるペレットは1種類だけではなく、数種類にしてあげる事をおすすめします。また、食欲が落ちてもこれなら口にするというおやつを作ってあげる事も大切です。うさちゃんの場合、食欲と飲水には関係があるようで、食欲が低下すると水分もとらなくなる事があります。このような時、少しでもお腹の中に食べ物が入ることが重要な鍵となります。
3: うさちゃんの生活環境での注意点
基本的なお部屋での安全対策を見直しておきましょう。お部屋の中の危険な場所などを知り、出来うる限りの対策をたてる事はとても大切な事です。そして、お部屋や家の中で一番安全な場所も確認しておきましょう。
1)室内環境
地震による家具の転倒・ガラスの破損や、引火しやすいカーテン等からの火事に気をつける事がポイントです。当たり前ですが日頃からの整理整頓が大切です。
2)ケージ周りとケージの補強
先ずは、地震などでケージが動かないようにしてあげましょう。そしてケージの中でうさちゃんが避難する場所(固定されたフルハウス等)も作ってあげましょう。隠れる場所がある事でうさちゃんも安心します。食器やボトルを固定式の物にする事でケージ内でのパニックや怪我などを防ぐ事ができると思います。また、ケージの上に物が落ちて来た時にケージが崩壊しないように、ケージ自体を結束バンドなどで補強しておきましょう。
4: 避難セットの準備
避難セットを準備時しておくことは、とても重要です。避難するときには、必ずうさちゃんとの同行避難が原則です。後で迎えにくるつもりでも、避難した後に戻る事が困難になる事もあります。うさちゃんや一緒に生活している動物を守ってあげられるのは、あなたしかいません。
Point
・1週間程度の生活に必要な消耗品を準備しましょう。
ラビットフードなどは、手に入りにくい物と考えて用意しましょう。
・あなたの避難セットと同じ場所においておきましょう。
・うさちゃんをキャリーに入れる事は普段から慣れさせる事が大切です。
食べ物は、最低でも1週間分程度を用意しましょう。犬猫のフードの支援は比較的早く行われますが、うさちゃんの場合は他の小動物と一緒になる事が多いようです。また、フードの賞味期限はおおよそ1~2年ですので、常に1ヶ月分程度を予備分として置いておくと安心だと思います。また、牧草は、圧縮された牧草であれば比較的保存がきくでしょう。おやつは食欲低下等の時などに効果がありますので、これなら食べるといういうものを用意しておく事をおすすめします。うさぎのしっぽでも、おやつの取扱いは食欲低下の対応として始まりました。
サプリメントやお薬は、基本的には災害時には手に入りにくいものと想定して、体調に直結する場合には必ず用意しておきましょう。また、食欲低下が起きると飲水もしなくなることがあり、深刻な事態になる可能性もあります。このような場合、ストレスや疲労で失われた体液中の電解質を素早く補う事のできる電解質飲料を与えるのが効果的です。
うさちゃんの世話をするのは、あなただけとは限らない事態があるかもしれません。時には誰かに預ける事も必要でしょう。そのような時に必要なのが、うさちゃんの事が記録された飼育手帳やメモなどです。日頃から、うさちゃんの様子を記録したり、ご飯の与え方や特徴等をまとめて記載しておきましょう。
知っていると役にたつホームページ
モバイルサイトやtwitterで相談などができるものもあります。一度確認をしておき、必要なものは携帯に登録しておく事をおすすめします。
■日本動物愛護協会:http://www.jspca.or.jp/
■被災ペット.net:http://hisaipet.net/
5: 行動パターンを理解してシミュレーションしましょう!
私たちは何か困った事があれば、自分で対策を考えたり薬を飲んだりする事ができますが、うさちゃんはそうはいきません。普段から一緒に生活しているあなたでも、言葉を伝える事ができないうさちゃんへの対応は簡単ではないでしょう。
1)うさちゃんの行動パターンを知ろう!
地震や災害が起きた時の事だけではなく、避難した場所でも大きな環境の変化が想定されます。普段と違う大勢の人や動物、温度管理されていた室内から屋外の環境への移動など大きなストレスがかかるかもしれません。普段と同じような生活が理想ですが、そうならないかもしれません。先ず毎日の昼間や夜の生活行動、どんな場所が好きか、ご飯やおやつをいつ食べるのか、糞尿はいつ頃するのか、調子の悪い時はどんな様子になるのか等、普段知っているはずの事でも再度観察し直してみてみましょう。
2) どんな事が起きるのか?
先ず始めに考えられるのはパニック状態です。これはしばらくすると落ち着くと思いますが、今迄聞いた事がない鳴き声や行動が見られるかもしれません。飼い主さんのパニック等もうさちゃんには伝わってしまいます。落ちついて対応してあげましょう。次にご飯を食べない、お水を飲まないなどの食欲低下が起きるかもしれません。普段の食欲低下の時の対応をヒントに対策を立ててあげましょう。また、普段スペースを使い分けて生活をしていたうさちゃんも、違う場所に移動することになれば行動パターンが変わってくるでしょう。特にトイレのしつけ等に変化がおきます。このような時、不安のためなのか、スペースが少ない為なのか、他の動物のせいなのか、ストレスのせいなのかなど多角的に考えてみると解決策がみつかるかもしれません。今の目の前にいるうさちゃんを見ながら想像してみましょう。ストレスと住環境の悪化が起きれば、病気になったり持病が悪化するかもしれません。軽い段階で発見してあげることで予後が変わってきます。そのうさちゃんなりの対応方法を考えてあげてください。例えば胃腸障害を起こしやすいうさちゃんには、流動食やシリンジは必需品となります。
3)一人で留守番している時に震災がおきたらどうなるか?
その時飼い主さんは守ってあげることができないかもしれませんが、被害を最小限するような配慮はあると思います。うさちゃんの性格を配慮してケージの中に危険物になるようなものを置かない、安心できる場所を作っておいてあげるなど、是非一度考えてあげてください。もちろん「うさちゃんの生活環境」で説明した安全対策は出来る限り配慮してあげてください。
もし起きてしまったら~その時にしなければならない事~
1)災害時の家での注意
先ずは、安全確認をしてあげてください。意外と平然としているかもしれませんが、パニックなどになっている時、避難迄に時間がある場合には、声かけなどをしてあげてパニックを落ち着ちつかせましょう。飼い主さんの緊張を感じ取り、更にパニックにならないように冷静に対応してあげてください。慌ててうさちゃんを家の中に放したりすると、捕まえられなくなったりどこかに隠れてしまうかもしれませんので気をつけてください。また、うさちゃんの行動パターンを知っていれば、逃げ込む場所も分かるかもしれません。事前に検討してあげましょう。キャリーに移す事ができたら、音や光などをを遮断する目的で布などをかけてあげましょう。
2)避難する時の注意点
お水やご飯は入れてもほとんどの場合は食べません。避難所について落ち着いてからあげましょう。移動する時には、外が見えないように布などをかけてあげましょう。また、避難の際はうさちゃんといっしょに同行避難する事が基本です。後で迎えにくるという事は、状況によってはうさちゃんを救う事ができなくなるという事態になる場合もあります。
3)避難先での過ごし方
集団生活となることを意識して、他の避難者の迷惑にならないようにしましょう。動物アレルギーの問題やうさぎや動物が苦手な方の存在など心配する事は多いと思いますが、飼い主さんの配慮で道は開けると思います。特に、おしっこのアンモニア等のにおいが出ないようにこまめなお掃除を心がけましょう。また、毛の飛び散りなども防ぐように、水だけを使ったハンドグルーミングなどもする必要があります。何事もあきらめずに避難生活での要望を声に出し、周りの方や支援していただける団体と話し合い、解決していくことが重要です。いずれにしても、日頃のうさちゃんの健康管理や抱っこが出来るなどのしつけがとても大切になります。また、忘れてはいけない事は、うさちゃんの飼い主さんの所在が分かるように、キャリーには必ず名前や連絡方法などが記された名札などを付けることです。
4)うさちゃんの預け先の確保
長期間の避難生活になる場合は、親戚や友人にうさちゃんを預ける事も検討しましょう。事前に預ける場所をきめ、飼育手帳などに必要な事項をまとめておき、うさちゃんを預かってくれる方も大変にならないようにしましょう。
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