うっ滞の症状が見られる時の背景の中に、運動量が少ない状況が見られることがあります。体を動かすことで、腸内環境にも運動力が通じていることなどが考えられるのだと思います。今回の場合には、ケージの外でいたずらしてしまう状況があったために、ほとんど運動することがなくなったという背景があるようですので、このことも原因のひとつとして考えられることなのだと思います。もちろん、その他の飼育環境やもともとの体調などに不調が起きたことでうっ滞の症状が見られたことなのだと思いますが、環境の変化があったことで引き起こった状況でもあると受け止めていただくことも大事なのだと思います。うさぎは齧ることが仕事のひとつでもあります。目の前にあるものを齧って確認したり、伸びる歯を摩耗させるためにも物を齧ります。この本能や習性を理解していただいて、なおかつ安全な環境の中で遊ばせてあげられるように考えていただくことがよいのです。齧っても問題のないものとして、木製品があるかと思います。すのこやかじり木などを上手に使って、遊び場の環境を作っていただくとよいのです。予め決めた範囲はサークルなどで仕切ることだと思いますが、このサークルさえも齧ることが予測できることですので、そこへガートとなるものを取り付けていただければ、齧ってもよい環境になります。部分的であればかじり木やフェンス、広範囲の場合にはすのこを取り付けていただくことになるでしょう。他のうさ飼いさんの中では、うさぎさんが接する全ての面をすのこで覆って、齧ってもよい環境の中で過ごさせている子もいるほどです。環境を整えるには時間も費用もかかりますが、そうしていただくことで決まった時間広い環境の中で過ごさせてあげることができるようになりますので、引いては運動力が上がることへとつながるのだと思います。また床面なども、サークルマットなど齧りにくいものであればいたずらしないという場合はよいですが、それでもいたずらするという時には、ケージの中と同じようにこちらもすのこを取り入れていただくとよいと思います。そして、食事についてですが、ペレットや野菜類に興味を示してくれないようですが、牧草をしっかりと食べてくれているようです。獣医師からもよい方へ回復しているという太鼓判はいただけているようですので、うさぎさんなりの何らかの理由があるのかもしれません。うっ滞の症状が見られたことで、これまでの食事と違った方法で栄養を取り込んでいたと思います。この食事の変化が、うさぎさんにとってこれまでとは違う食事を求めているという場合もあるのかもしれません。食べるものをうさぎが選んでいる時には、そのときに必要だと思われるものを選んで食べているということもあるようです。今は腸内を活発に働かせるためにも、繊維質を取り込んでいるという解釈もできることでしょう。大人うさぎにとってチモシー牧草の繊維質は、本当に重要な働きを持っていますので、望ましい食事のひとつともいえることです。牧草の種類を増やしてあげたり、栄養価の高い牧草も取り入れるなどして、様子を見ていただくこともできると思います。ただ、排泄の状態や体重、うさぎさんの様子なども合わせて観察していただいて、体重が減ってきている場合や、具合が悪そうだというときには、今一度考えていただくことが必要です。食べたくても食べられない状況があるならば、その原因を突き止めてあげることが必要です。まだまだ試行錯誤されることが多いことだと思いますが、不安がどうしても残るという時には、迷わずにかかりつけの獣医師にご相談ください。飼い主さんが察する状況は、うさぎさんからのサインであることも多いですので、心配なまま過ごさずに直接診ていただくことで明らかになるのですからね。