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トップ > 飼育講座 > 第4回 ご長寿うさぎ! 体

2016年06月14日 掲載

第4回 ご長寿うさぎ! 体

店長の飼育講座

町田店長うさちゃんは、日本人にとって身近であって、意外と知らなかった動物の一つだと思います。昔から、小学校等にいたのにその生態や飼い方があまり知られていません。
その為に間違った飼い方がされることも多いのではないかと思います。
例えば「兎は水を飲むと死んでしまう」。だから、水を与えない等ですね。

この講義を全て読んでもらった後、「うさちゃんを正しく飼う、飼育する」ではなく「うさちゃんと楽しく生活する」に変われるようになればいいなと思っています。

町田 修

第4回 ご長寿うさぎ! 体
体や行動の変化

体や行動の変化うさちゃんが子供の頃から一緒に生活している方は、思春期の時のやんちゃぶりや体全体で喜びを表現するような垂直ジャンプやターンを簡単に思い出せると思います。成長期が過ぎ、大人のうさちゃんとなるに従って、少しずつ行動や食生活に変化がみられますが、その変化とは少し違う行動(老化)が見られたら、そろそろシニアかなぁと思い、今までよりもうさちゃんの行動をよく見てあげて下さい。年とってきたのかな?と病気の初期症状はとても似ていますので見間違えないようにする事はとても重要な事です。

1:下半身の筋力低下

うさちゃんは、元々下半身が強い動物です。強い脚力で自分の骨さえも折ってしまう程、大きな筋肉があります。高齢になってくると縄張り意識が弱くなり、行動範囲が狭くなります。運動量も少なくなり、少しずつ筋力低下が起き、そして体の中で一番目立つのは下半身です。日頃から運動する機会が少ない子は、その傾向が特に強いかも知れません。行動的には、ケージの段差を踏み外す、トイレに上らなくなる、走るスピードが遅くなる、機敏さがなくなる等が見られます。行動に変化が起きるのと同時に下半身の大きさや張りも落ちてきます。

2:プロポーションの変化
①:うさちゃんを横から見た時、腰の高さが低くなります。

下半身を支える筋力が低下するため、足の支えが弱くなり結果として腰の位置が低くなります。また、足の幅も若干広がります。

②:下半身が細くなり、時には背骨まで触れるようになります。

日一緒に生活している飼い主さんは直ぐに気づかない事があるかもしれません。毛の豊かなホーランドロップ等は触らないと分からないこともありますので、日頃から触り、確認しておくといいかもしれません。また、こんな時にしっぽのグルーミングサービスや健康チェック等を利用して頂くと客観的にその変化に気づくことができると思います。

③:体重の低下

若い頃は太り気味の子が多いのとは逆に、高齢になると体重が低下する事が多くなってきます。これは、筋力の低下と関係があると思います。定期的な体重チェックで簡単に見ることができます。しっぽのグルーミングサービスは、データベースで管理しているので、「半年前の体重は・・・」や「少しずつ変化・・・」などのアドバイスができると思います。

(飼い主さんが出来る事)

ヤング:日頃から適度な運動を心がけてあげて下さい。若いときには日常生活の中に軽いジャンプをするような環境、一日30分から1時間、走らせる運動が必要です。もし、お部屋は無理という飼い主さんは、サークルの中やケージの中に運動の要素を入れてあげてください。

ミドル:体を大きく使うようなジャンプなどは少し控えめにして、足でしっかり踏ん張れる床を意識して、歩く、走るなどの運動する機会を多く作り、縄張り意識を低下させない、いろいろなものに対する興味を持ち続けさせる事等を意識させてあげましょう。

シニア:基本的には、ミドルと同じですが、怪我をさせないように注意してあげて下さい。段差を踏み外す事が多くなれば、その段差は高すぎだと理解し、より低くする、 時には段差(ロフト) を外す等の室内レイアウトの変更を考えてあげて下さい。上下の動きが少なくなる分、平面的な動きを多く出すような工夫、例えば、天井からおもちゃをつるして、そのおもちゃの周りを回れるようなうさちゃんの道を考えてあげる事がいいかもしれません。

3:聴力の低下

高齢になると特に聴力が低下するのか、音に対する反応が低下してくるようです。今まで「タフ君!」と呼んで、飛んできていたのが、少しずつケージを叩いて呼ぶようになったりして実感として感じる方も多いのではないでしょうか?実は、うさちゃんの情報収集器官には、聴力とは別に、振動覚というものがあります。うさちゃんが行うスタンピングはこれを利用した情報伝達ですし、穴の中で生活している野生のうさぎは、土から伝わって来る振動をキャッチしていると簡単に想像できると思います。もし、耳が遠くなって来たのかしらと思ったら、振動によるコミュニケーションを考えてみてもいいかもしれません。また、人間でもそうですが、感覚器から情報が入らなくなってくると活動全体が低下してきてしまうので、一見気づきにくい変化ですが、うさちゃんの様子をうかがい、適切な刺激、声かけ、振動を伴うサイン(音)等を工夫してみてあげて下さい。

(飼い主さんが出来る事)

振動を使ったコミュニケ-ションは、ヤングの時からいろいろ工夫してもいいかもしれません。聴力の低下は、活動全体を低下させるかもしれませんので、普段から気にかけてあげてください。

4:味覚の低下

もともと味覚はとても鋭く、私たちよりも多くの味が分かると言われています。この感覚は、臭覚と同様にかなり保たれると思いますが、シニアになると新しい食べ物に対して今まで以上に強い拒否反応を示すことがあるので、ヤングの時から偏食をなるべくなくすような食生活を考えてあげる事が必要です。また、今まで食べていたものを食べなくなったり、食べが悪くなったりした時には、高齢による味覚の変化という事もありますが、病気などが裏に隠れている事もあります。先ず、口の中の異常、例えば、臼歯の不正咬合や口の中の傷を獣医師に確認してもらいましょう。高齢になると臼歯がうまくすり減らずに悪さしている事もあります。

(飼い主さんが出来る事)

ヤングの時からの食生活がとても大切です。とりわけ野菜等はできる限り食べられるようになるべく早い時期から取り組んでください。これは、後半の「食のコラム」で、もう少し説明します。

5:目及び目の周りの変化

高齢になると目の病気が比較的多くなってきます。この理由はよく分かりませんが、うさちゃんにとって目はまだまだ私たちと一緒に生活するという点で適応しきれていないのかもしれません。実際には、目ヤニや涙目など歯が関係した問題や感染症と密接に関連して起こる病気が多く、白内障等の老齢変化も少なくはありません。目の問題は、うさちゃんの生活にとって大きな支障を起こすことはありませんが、年寄りだからだと言って諦めずに、目ヤニや涙目などがひどくなる前に根本の疾患の治療をしてあげてください。また、白内障などは、獣医師の文献などに抗酸化物質を与えると効果があると記載されているので、試してみる価値はあるかもしれません。いずれにしても、高齢になるに従って、生活環境の大きな変化は作らずに、ケージの中なども例え視力が低下しても生活ができるようなレイアウトにする必要があるでしょう。また、紫外線などの影響を受けないようにする事も必要になります。

(飼い主さんが出来る事)

目の変化は、目以外の体調不良や疾患が関係している可能性があります。まずは獣医師に相談してください。もし、視力低下が起きてきたら、ケージレイアウトを早い段階から平面的な適切なレイアウトに変えてあげてください。

6:毛や皮膚の変化

体力の衰えや他の病気にかかり免疫力が低下している場合には、毛や皮膚にその変化が見られてきます。「換毛期が終わったのに、また毛が抜けてきた」等のような事が見られたときには、それを起こしている皮膚炎(ダニなどの寄生虫も含める)等を治療するとともに、免疫力が低下している原因を突き止め、感染症などがあれば、その対策も立ててあげることが必要です。年をとった時の健康のバロメーターが皮膚や毛の状態であるといっても過言ではないので、「ちょっと毛がパサパサになってきたかなぁ」ではなく、「ちょっとしっかり見てあげよう」と思ってあげてください。

体や行動の変化(飼い主さんが出来る事)

皮膚の調子が良くない時には、まずは免疫力アップを考えると同時に他にその原因となっている病気がないかどうか獣医師に相談してください。寄生虫やカビ(真菌)等の皮膚炎には、皮膚を衛生的にする必要があります。OYKグルーミングスプレーやプリジア等はおすすめです。

7:おしっこの変化

今までおしっこをトイレにしていた子が段々トイレにしなくなって来たりする事があります。単純に習慣がかわったという事もありますが、下半身の機能低下により、トイレの段差を越えるのが苦手になった為かもしれません。また、尿漏れ・頻尿などによりトイレにまで間に合わない等の泌尿器系の問題である事もあります。下半身の機能低下は、行動観察でよくわかると思いますが、尿漏れ等はおしっこをしたら直ぐ分かるような場所(トイレシーツを敷いたような遊び場や水分が直ぐ見えるようなコンクリートなどのスペース)で30~60分遊びながら観察する必要があります。もし、頻尿などが見られた場合は、獣医師に相談して治療をしてあげましょう。また、尿漏れがある場合には、後ろ足内側が汚れたりするので容易に確認できます。

(飼い主さんが出来る事)

獣医師に相談して泌尿器系の病気があれば、治療してあげて下さい。放っておくと泌尿器系は命にもかかわることがありますし、後ろ足内側の皮膚炎になったり、足裏におしっこがつく事で飛節びらん(ソアホック)などになります。また、病気の治療と一緒に衛生的なレイアウトを考えてあげて下さい。後半のケージレイアウトで説明します。

8:行動の変化

人間でも同じですが、うさちゃんも高齢になってくるといろいろなものに対する興味がなくなってくるようです。食べ物・縄張り・異性。うさちゃんは本能で動く部分がとても強いため、ヤングの時には、これらの欲求が叶えられないことで、時としてストレスになったりするものです。しかし、これらは生きることそのものでもあるので、この本能は、シニアになっても基本的に必要となります。また、体の機能が低下し、耳が遠くなる等感覚器官が低下すると少しずつ全体の反応が鈍くなり、必要な本能までも抑えられてくるようです。そして、寝ている事が多くなったりします。少しでも、元気でいられるようにするために適度なストレスは必要になるので、高齢だからと言って、過保護にならないようにしてあげましょう。フードボックスの中には常にペレットやおやつが満たされている事がないように、「ごはんちょうだい」・「おやつちょうだい」・「あの子が気になる」・「ここは僕のテリトリーだよ」と、うさちゃんが要求をみせるようなストレスを考えてあげて下さい。

(飼い主さんが出来る事)

まずはうさちゃん本来の生活リズムに戻してあげる事が必要でしょう。昼間はゆっくりさせて、朝と夕方から夜に活動させてあげる。そして、食事の与え過ぎには注意し、時として空腹を作ってあげる事も必要かもしれません。適度なストレス、うさちゃんの本能を理解して、いろいろなものに興味をもてるような環境を作ってあげてください。おもちゃであれば、うさちゃんがくわえて動かせる大きさや重さ、かじったら壊れるような変化が起きるかじり木などがいいかもしれません。そして、一緒にいる時には沢山遊んであげましょう。名前を呼んであげるなどの、スキンシップもとても重要です。

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