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トップ > 飼育講座 > 第2回 「ウサギの白内障」

2016年06月14日 掲載

第2回 「ウサギの白内障」

店長の飼育講座

町田店長うさちゃんは、日本人にとって身近であって、意外と知らなかった動物の一つだと思います。昔から、小学校等にいたのにその生態や飼い方があまり知られていません。
その為に間違った飼い方がされることも多いのではないかと思います。
例えば「兎は水を飲むと死んでしまう」。だから、水を与えない等ですね。

この講義を全て読んでもらった後、「うさちゃんを正しく飼う、飼育する」ではなく「うさちゃんと楽しく生活する」に変われるようになればいいなと思っています。

町田 修

第2回 「ウサギの白内障」

白内障とは、目の中の水晶体という部分に起きる疾患です。この疾患は、その分類のされ方から混乱を招きやすく、誤解される事も決して少なくありません。明確な治療方法はなく、うさぎに関しての文献等も多くはありません。この理由は、いままで白内障の精密検査や積極的な治療をうけるうさぎが多くなかったことだと言われています。しかし、うさぎの老年期に白内障が少なくないというのも事実です。白内障は、混乱を招きやすい疾患であるので、白内障になってし まった場合には、出来る限りうさぎの白内障の臨床経験のある獣医師にかかり、白内障についての正しい知識を獣医師から受けて頂くことが大切と思われます。ここでは、獣医臨床眼科学より抜粋したものを簡単に説明したいと思います。ただし、うさぎの 白内障の臨床報告はあまりありませんので、下記に記載する白内障については、あくまでも参考としてご理解下さい。(専門書からの抜粋なので所々にコメント を入れさせて頂きました。)
一次情報を明確にするため「獣医臨床眼科学」からの抜粋は緑色で表示します。

また、情報は随時新しい物に変えさせて頂きます。もし、間違いや気になる事がありましたらお知らせ下さい。

1:定義

ウサギの白内障白内障とは水晶体やそのカプセルのあらゆる混濁を云います。これには空胞形成(細胞内および細胞外の両者)と蛋白の局所沈着を伴います。

1:定義

6種類の分け方があります。同じ疾患でもいろいろな呼ばれ方をします。

1) どのようにして起こったか?
a)後天性
b)遺伝性

2)いつ起こったか?(多くの診断名はこの分類でつきます。次に詳しく説明します。)
a)先天性
b)若年性
c)老年性

3)どこに起こったか?
a)侵された構造
b)水晶体内の部位

4)発生速度による分類
a)低在性
b)進行性

5)水晶体の硬度による分類
a)液状
b)軟性
c)硬性

6)発達段階による分類
a)初期
b)未熟期
c)成熟期
d)過熱期 

3:いつ起こったか?から分類される白内障とは?

上記2の2)で分類したように3種類に分かれます。一般的に生体のどの年齢で発症したのかでこの診断名はつけられますので、耳にすることが多い呼ばれ方です。下記の詳細は、犬猫などの症例として書かれているものです。

若年性白内障:

発達白内障とも言われています。専門書では、犬・ネコ・子馬の説明程度しか報告がないのが現状です。ですから、多くの「若年性白内障」という疾患の情報は犬からの症例報告から来ているものとも言えます。

「一般に6歳(犬)までにみられる遺伝性白内障を云うのに用いられている用語です。・・・・・つまりまず皮質が侵されて、次いで核が侵されます。(1)・・・・若年性白内障の典型的な経過は進行性であり、最終的には白内障が成熟します。(2)・・・・多くの若年性白内障は1年以内に成熟します。(3)」(・・・部分は省略させて頂きました。)

*1:老年性白内障は、一般に核から侵されます。

*2:うさぎの場合には、どのような経過をたどるのか報告される事例は多くありません。白濁が進む事が少ないとも云われています。

*3:うさぎの場合には、どのような経過をたどるのか報告される事例は多くありません。現在私たちが把握している数例の中では、1年以内に成熟するうさぎさんを確認していません。

先天性白内障:

「先天性白内障は胎生期や生まれてすぐに始まり、退行したり、停在性であったり、進行したりします。・・・・小動物では6~12週前にみられます。これは、遺伝性であったり、眼のその他の発達障害に続発したり、母体の影響によって起こります。その病 因は臨床経過にも影響してきます。」

 要するにいろいろな要因によって起こり、その症状も多様で、その症状によって病因が特定されるという事です。

老年性白内障:

「老年性疾患としてみられるもの。一般に犬では6~8歳、猫では12歳、馬では20歳より後にみられるもの。」

これをうさぎの寿命として換算すると、3歳位から発現する白内障は老年性といえるかもしれません。

4:発達段階による分類の白内障

白内障は、進行性の疾病です。もちろん、停在や退行性のものもありますが、その発達段階の状態を把握することはとても大切になります。

初期白内障:

「これは、混濁が始まりだす時期で、視力は正常。」
小さな点や細い筋が見られます。肉眼で見えるものもありますが、多くは精密検査で確認されます。

未熟期白内障:膨張期

「混濁はより著しく、視力も障害される。検眼鏡で眼底は不明瞭にしかみえないが、眼底反射は以然見られる。これは水分を著しく吸収している時期で、水晶体は膨張し水晶体膨張が特徴。この時期には続発性の緑内障が観察されている。」
白濁が進み、水晶体が水分を吸収し膨張するのが特徴。

過熱期白内障:

「成熟したあと、白内障によっては更に変化するものがある。」
1)収縮性白内障 2)モルガン白内障 3)吸収性白内障
吸収性白内障は水晶体摘出術と同じ事となり、視力が回復してくる傾向がある。

5:治療

こでは、情報を集めて、現実の治療事例を掲載して行く予定です。

a)薬物療法:吸収性白内障や停在性軸性白内障やゆっくりと進行する白内障で視力を助けるのに有効と云われています。

b)手術療法:

 うさぎ受診の経験が多い獣医師に相談の上、検討することをお勧めします。

前述したように白内障は、この薬を与えたら完治するという明確な病気ではありません。症状の経過を見て、獣医師と相談しながら、投薬する のか、見守るのかを決める必要があります。若い年齢の時に起きるうさぎの白内障は、私たちの知る限り急激な進行(成熟)をしないようにも思えます。ただ、 症状の変化があった時には、獣医師の判断を仰ぐことが必要だと言えるでしょう。また、その治療方法や考え方は様々です。ある獣医師は、最近報告された症例報告からその診断を推察する事もありますし、白内障(混濁)が起きている部分が核なのか皮質なのかの精密検査で診断する事もあります。ただ、一番大切だと思うのは、うさぎの白内障の臨床報告は多くないので、手探りで進めて行くことを理解する事だと思います。獣医師との信頼関係やブリーダーとの信頼関係の 中で情報を共有し、最善の方法を模索していくことではないでしょうか?ちなみに、うさぎの情報収集の手段としての視力は、大きな比重を占めていません。 徐々に起きていく眼の疾患は、うさぎの生活に大きな障害を起こさないと云われています。

6:エンセファリトゾーンとの関係

近年エンセファリトゾーンの感染により白内障が起こる可能性があることが云われています。但し、エンセファリトゾーン自体はうさぎと共生している原 虫とも云われている為、エンセファリトゾーンの検査で「陽性反応」が出現したから、直接それが白内障の原因とは言えないかも知れません。しかし、エンセ ファリトゾーンの駆虫薬の副作用はあまりないとされていますので、まず、エンセファリトゾーン駆虫から白内障の治療を行うのは一つの考え方かもしれませ ん。

 しかし、この薬では、エンセファリトゾーンを完全に駆虫できず、エンセファリトゾーンによって症状が出ている時に有効に働くと云われて います。ですから、陽性反応が高いからと云って直ぐに投薬する事が最良の判断ではないかもしれません。ちなみに、エンセファリトゾーンに感染しているかど うかは、生体が亡くなった後、その組織の病理検査をしてみないと分かりません。まだまだ分からない事ばかりです

7:余談 アイスポットと白内障

うさぎに起きる眼の病気としてアイスポットと白内障がアメリカのブリーダーで論議されたり、各クラブ(純血種の認定やその種類の啓蒙やラビット ショー等を行う組織)のガイドブックには書かれていたりします。横浜ベイラビットクラブの第一回のショーの時、ジャッジが眼のチェックを入念に行い、多く のホーランドロップが失格になりました。どの種類にアイスポットが多いのか明確な報告はありませんが、ホーランドロップのブリーダーの中ではよく論議され る内容です。このアイスポットは遺伝する病気として知られ、純血種のブリーダーはその排除が責任としてあり、うさぎのしっぽでもそのチェックを長年し続け てきました。

アイスポット:角膜やぶどう膜にできる白い点 治療で治るとも云われています。

8:文献

うさぎの自然発生的白内障の文献 原文とサマリー

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