2016年06月14日 掲載
うさちゃんは、日本人にとって身近であって、意外と知らなかった動物の一つだと思います。昔から、小学校等にいたのにその生態や飼い方があまり知られていません。
その為に間違った飼い方がされることも多いのではないかと思います。
例えば「兎は水を飲むと死んでしまう」。だから、水を与えない等ですね。
この講義を全て読んでもらった後、「うさちゃんを正しく飼う、飼育する」ではなく「うさちゃんと楽しく生活する」に変われるようになればいいなと思っています。
町田 修
次のページ >>
この時期、「春の換毛が終わったばかりなのに・・・」、「毛がポサポサしている・・・」なんて思っている飼い主さんって意外と多いと思います。今回は、換毛についての基礎知識とシャンプーなどの洗浄剤についてまとめました。うさちゃんにとっては過ごしにくい季節なので、少しでも快適に過ごせるようにしてあげたいですね。
年4回の換毛 春:3月~5月、夏:6月~8月、秋:9月~11月、冬:12月~2月
右のグラフを見て下さい。これは、しっぽの4000件以上あるQ&Aの中で、換毛のカテゴリーに寄せられた質問(4年間)を月毎にカウントしたものです。夏の期間に質問が多いことが分かります。これは、すなわちこの時期に多くの飼い主さんがうさちゃんの毛の抜け替わりで困っているという事です。この理由は紙面のスペース上詳しく書けませんが、いずれにしても、これから秋まで上手に換毛と付き合う事が必要となります。
換毛は季節の変化から体を守るためのシステムとも言えるでしょう。寒い時期には、寒さから守る毛質に、暑い時期にはその逆に、人間で言えば洋服を替えるようなものでしょうか。その季節の気候やうさちゃんの体調によっても、生活している場所によっても換毛の時期が異なってきます。便宜的に、春:3月~5月、夏:6月~8月、秋:9月~11月、冬:12月~2月と考えて、貴方のうさちゃんがどんな換毛をして来たか思い出してみてください。換毛は、うさちゃんにとって体の毛が抜け替わる一大イベントです。体調がすぐれないと時期はずれに換毛が始まったり、今まで暫く換毛がなかったのに、真夏に突然来たりすると生死にも係わる位重大な事になったりします。年間を通して換毛を観察していくと、健康チェックの目安にもなるんです。これは、飼い主さんしか知らない、獣医師にも分からないポイントなんです。
うさちゃんの毛は、ガードヘアとアンダーコートに分かれています。(その量や割合でフライバックとロールバック等と毛質も分かれますが、今日本でコンパニオンとなっているうさちゃんの多く(ネザーランドドワーフやホーランドロップ等)がロールバックという毛の量が多いタイプだと思います。)換毛は、ガードヘアとアンダーコートが別々に起きたりします。ガードヘアとは、うさちゃんの毛の色を表す毛です。
色が変わってきた、模様が出てきたという時はこの艶やかな少し長い毛の換毛です。この時にはハンドルーミングやラバーブラシ等を使ったグルーミングが効果的です。アンダーコートとは地肌に近い部分でふわふわの毛です。この毛は量が多いため、換毛期にはしっかりとブラッシングをしてとってあげる必要があります。この時に有効なのが、スリッカーブラシです。お尻の当たりのモサモサとれる毛がこれにあたります。
ここでお話しする病気などは、健康な時や環境が良好であれば、例え感染していても大した問題にはなりません。しかし、湿度が高く、換毛した毛が落ちることなく皮膚に留まっていたりすると症状がひどくなったりします。また、他の疾患があり、免疫力が低下していると感染源が増殖したり、それ自体が隠れた大きな病気のサインであったりします。症状を良く理解して、適切に対応して欲しいと思います。ただ、皮膚炎だけに目がいき、皮膚炎を治療する事で他の病気を悪化させないようにしてあげて欲しいと思います。
簡単に言うと「カビ」による皮膚炎です。場所は、前足、顔、耳等です。症状は、かさかさした脱毛が円を描くように同心円状に広がります。ふけがみられることがもあります。もし、発症してしまったら、先ず飼育環境やケアを見直し、獣医師の指示のもと治療してあげて下さい。
特に爪ダニは意外と多くみられます。健康な時には症状を見せないことがあるのは、上記の真菌症と同様です。背中やお尻などに発症し、ふけや薄毛・脱毛がみられ、かゆがることも多いと思います。感染症は、免疫力の低下と関係していますので、一つの感染が見られると複数感染している可能性があります。対処療法としての皮膚炎治療も必要ですが、根本の病気や免疫力アップはとても大切です。換毛期のケアや飼育環境を見直す事と共に考えてあげて下さい。
うさちゃんはストレスが溜まったりすると過剰な毛繕いをすることがあります。これからの時期の換毛期は、湿度・温度などストレスが多くなるので毛を飲み込む事による胃腸障害が起きやすくなります。毛を飲み込むことで消化管の動きが悪くなり、食べたものが胃腸の中に留まり、異常発酵を起こしたりしてガスがたまります。飼い主さんがみられる症状としては、食欲不振、小さく少ない糞、少なくなる飲水があります。 飼育環境やブラッシングなどのケアは勿論ですが、牧草などの繊維質を多くし、おやつ類の炭水化物などを少なくする等の対応も必要になります。
この時期には、うさちゃんの毛が舞い散り、高温多湿によりダニなどが増えます。これは、すなわち、飼い主さんのアレルギーのもとアレルゲンが多くなるという事です。また、①・②でお話しした皮膚紙状菌や爪ダニは人畜共通感染症を引き起こします。うさちゃんと遊んだり、ケアした後は必ず手洗いやうがいをしましょう。末永くうさちゃんと一緒にいるために是非実践して欲しいと思います。